ブレンドと聞くと高価な豆を安価な豆と混ぜ合わせて効率よく売るみたいな、売るための店側の策略ではないかと勘繰られることも良くあります。たしかにそういった点がないわけではありません。たとえばブルーマウンテンのような極端に高価な豆の場合、美味しいので試してほしいけど値段は下げられない。でも何とか飲んでもらいがために、ブルーマウンテンらしさが感じられる必要最低限のブルーマウンテンを使用して、あとは安価な豆を混ぜて味をまとめる。効率よく売るというよりは売る側と買う側の歩み寄りだと思います。
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こういった考え方のブレンドも一つではありますが、もう一つの考え方のブレンドは純粋に味の追求です。同じ品種や同じ産地で作られたシングルのコーヒーはたしかに雑味がなく、そのコーヒーが持つ個性を楽しむにはうってつけです。素材そのものを楽しむお刺身みたいなものかもしれません。
ただもちろんシングルは素晴らしいのですが、ブレンドでなければ表現できないものもあります。多層的な味や複雑な香り、異なった焙煎度を合わせることによる独特な口当たり、新たな発見など。製作側が予想できない驚きがあるのもブレンドです。新しい料理を作っているかのようです。
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当店のブレンドはシングルでは難しい味わいや香りに奥行きをもたせるためです。奥行きが出てくるとコーヒーから感じるイメージが変わってくる気がします。具体的なものから抽象的なものへ。特定のフルーツのフレーバーというより季節とか。面白いです。ベースとなっている豆もすべて当店で商品として販売しているスペシャルティコーヒーなので、品質の面では申し分ないと思います。
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素材を楽しむ方がいいとか、凝った料理の方が優れているとかは意味のない比較だと思います。いろいろ楽しんでいただけると嬉しいですね。